194人が本棚に入れています
本棚に追加
脂汗をかきながら見上げた先にあったのは、大きな鎌と。
死神さながらの黒いボロボロのローブを身にまとった、あの日の少年だった。
こいつがシマだ。
瞬時に理解した。
こいつが、あたしを蹴り飛ばしたこと。
ぶわっと、毛穴の開くような感覚があって。
あの日の。
奪われた記憶が洪水のように脳内にあふれ出す。
ちかちかするような頭の痛みと体中の痛みのせいで、あたしはパニックに陥るしかなかった。
「あんた……あの、ときの……っ」
「ああ、もう思い出しちゃった?お前意外と勘がいいんだね」
「………っ」
「しかも、運よく助けられて死なないしさ……イライラするよ」
そうだ。
あたし、あの日この少年に殺されると思った。
逃げようとしても引きずり倒されて、そして。
死ぬように、暗示をかけられた。
なぜ目をつけられたかなんて分からない。
心当たりがなかった。
「なんで……こんなこと」
「分かんないんでしょ?それに……知る必要もないよ」
有無を言わさない言葉と、目つき。
最初のコメントを投稿しよう!