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茫然自失とするあたしを見て、少しは気が済んだのだろうか。
シマはあたしを見下ろすと歪んだ笑みを浮かべてどこかへと行ってしまった。
現れるのもあっという間なら、去るのもあっという間で。
ついていけない。
命の危機は、脱したのだろうか。
でも、何だか今はどうでもよかった。
体中の痛みが、雨の冷たさが。
胸の中のモヤモヤとめちゃくちゃに混ざっていく。
あたしを見つけてくれたのは、イツキさんだったらしい。
約束の時間になってもお店に来ないあたしを探して。
冷たいアスファルトにゴミのように倒れていたあたしを見て。
イツキさんは、どんな気持ちだったんだろう。
何を思っていたんだろう。
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