194人が本棚に入れています
本棚に追加
マンションに一度は戻ったけれど、会社の人たちの声が聞こえるのが怖くて、苦しくて気がつけば外に飛び出してきてしまった。
行く宛もないのに。
ランドセルを背負った小学生たちが、朝からやかましく公園を通っていく。
男の子たちが追いかけっこをするついでに滑り台をかけ登り、そのまま滑り降りていった。
元気だな。
微笑ましく思ってその姿を目で追っていたら、あたしに気がついた男の子がぎょっとしたような表情になった。
そのまま他の子どもたちにやべーよ、目合っちゃったなんて言っているのが聞こえて、心の中だけで苦笑した。
今のあたしは、どこに行っても後ろ指さされるみたいだと。
しばらくベンチでぼんやりし続けていると、いつの間にか小学生たちの姿も見えなくなっていた。
腕時計を見れば、もう十時。
世間は本格的に始動している時間帯だ。
今なら、もうみんな仕事に行っているだろう。
あたしはアパートに一度戻ることにした。
最初のコメントを投稿しよう!