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「は……やっぱ日記読んでたんじゃん」
「違うよ」
「嘘つき。なら何で知ってるの」
「……」
「もういいよ。どうせ死ぬんだから」
けれど彼はさっきとは段違いの力であたしを引きずった。
そして安全柵を無理矢理超えさせる。
「離せ!離せ離せ離せええええ!」
あたしは体をめちゃくちゃに暴れさせた。
足や拳はイツキさんに当たっているし、最初に飛び越えたときよりお互い体に作った傷は多かったはずだ。
抗っても無駄なほどの強い力。
せっかく乗り越えたのに引き戻され、呆然とするしかなかった。
手をついたコンクリートが冷たい。
でも。
「何で……何で、邪魔すんの」
「馬鹿だね。あの男は最初から君のことを大切にはしていなかったのに」
「そんなこと、最初から分かってる!!」
あたしの中で何かが爆発した。
喉が張り裂けそうな程の叫びだった。
彼が触れてはいけないところに触れてしまったから。
気づきたくなくてずっと目を逸らし続けてきたところに。
分かってるよ。
全て彼の言う通りだった。
だから、そんな分かりきったこと。
「いちいち言わないでよ!言われなくたってあたしが一番よく分かってるっ!あんたなんかに言われなくたって……!」
「…………」
「それでも、好きだったっ……!」
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