1.あらまし

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「は……やっぱ日記読んでたんじゃん」 「違うよ」 「嘘つき。なら何で知ってるの」 「……」 「もういいよ。どうせ死ぬんだから」 けれど彼はさっきとは段違いの力であたしを引きずった。 そして安全柵を無理矢理超えさせる。 「離せ!離せ離せ離せええええ!」 あたしは体をめちゃくちゃに暴れさせた。 足や拳はイツキさんに当たっているし、最初に飛び越えたときよりお互い体に作った傷は多かったはずだ。 抗っても無駄なほどの強い力。 せっかく乗り越えたのに引き戻され、呆然とするしかなかった。 手をついたコンクリートが冷たい。 でも。 「何で……何で、邪魔すんの」 「馬鹿だね。あの男は最初から君のことを大切にはしていなかったのに」 「そんなこと、最初から分かってる!!」 あたしの中で何かが爆発した。 喉が張り裂けそうな程の叫びだった。 彼が触れてはいけないところに触れてしまったから。 気づきたくなくてずっと目を逸らし続けてきたところに。 分かってるよ。 全て彼の言う通りだった。 だから、そんな分かりきったこと。 「いちいち言わないでよ!言われなくたってあたしが一番よく分かってるっ!あんたなんかに言われなくたって……!」 「…………」 「それでも、好きだったっ……!」
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