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そもそもここはあたしが入る話になる前から会計事務所になるという話だったはず。
「イツキさんは会計事務所の所長なんですよね?ってことは税理士とか会計士の資格あるんですよね?」
我ながら今更な質問。
どちらかの資格がなければ基本的に会計事務所は開設できない。
まさかここまで来てそれがないなんてことはないよね?
あたしの顔にはっきりと浮かんだ不安を見て、イツキさんはへらりと笑った。
「うん。俺は確かにこの会計事務所の所長だよ。でも税理士試験は受けたことがない」
「じゃあ……!」
「でも、税理士会に所属はしてるし、俺が所長なら事務所も開けるよ。何も心配いらない」
「……そんなことあります?」
自分でもはっきりと不信感が出ていることを感じ取ったけど、もうどうしようもない。
「だって俺、税務署上がりの税理士だから」
「はあ?」
思わず出た声に慌てて自分の口を塞いだ。
まずい。あたしかなり酔っ払ってきてる。
上司になる人に今の感じはだめでしょ。
理性がそう諌めてくる。
でも、あまりにもおかしかった。
言った通り、会計事務所を開くには通常会計士や税理士の資格が必要だ。
けれどイツキさんが言ったように抜け道もある。
税務署に努めていた職員が税理士試験の科目を免除されて事務所を開くのはよくある話。
でもそれには条件がある。
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