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「っ!」
びくんと体が痙攣して、跳ねるように起きた。
心臓がうるさい。
これは、ただの夢だ。
悲しさとやるせなさで胸が痛い。
大好きだった先輩に別れを告げられた日の。
そんな、ただの夢だった。
先輩に叩きつけられた言葉は胸の一番奥に刺さっていて、まだ、抜けていない。
自宅マンションでお風呂に入り、汚れを落としたあと。
いつの間にかベッドに入って寝てしまったらしい。
ベッドに入った記憶はない。 染み付いた習性は中々のものだ。
公園で寝ても取りきれなかった疲れが随分ましになった。
あちこちの痛みもなくなっている。
頭痛と胸の痛みを除けば、だけど。
頭痛は泣いたせい。 胸の方は、夢のせいだろう。
こっちは寝たら悪化した。
心の傷はさすがに一日や二日じゃ治らないかあ。
溜め息をつきながら温かい紅茶を飲む。
スウェットにボサボサ髪のまま眺めた空は、夕焼けに染まっていた。
「これから、どうしよう」
この言葉を言うのは、もう二度目。
口にすると不安になるのに、留めておけばモヤモヤするのだから本当にあたしはどうしようもない。
くよくよする前にやらなければいけないことが山ほどある。
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