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「今日は無礼講だってイツキさんが言ったんですよ」
パワハラ紙一重のセリフを言うイツキさんに対してつい唇がとんがった。
これは、少しふてくされたときのあたしの癖。
お酒を飲んでいるせいかつい出てしまった。
イツキさんは気にした様子もなく、それはそうだと笑って再びビールを口にしている。
一方の黒子さんは呆れたようだ。
テーブルの上に散らかる三人分のお酒のごみを回収してキッチンへと行ってしまった。
「あの、本当なんですか?」
「ん?」
「死神って」
「うん、ほんとほんと」
「………」
なんか、軽いんだよなあ。
だから信じる気になれない。
っていうか信じる要素がない。
ひらひら手を振るイツキさんの頬は赤くなっていて、どこから見ても酔っ払い。
明日になったら忘れてるんじゃ。
「疑い深くて慎重なところは旭のいいところだね。そんなに心配なら、明日ついて来るかい?」
「えっ?」
半目で見ていると、降ってきたのはイツキさんの急な提案。
今度は目を見開いてしまった。
「死神の仕事を見せてあげるよ」
「死神、の」
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