1.あらまし

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まず部屋探し。 この部屋に住んでいられるのはあとわずかな期間だけ。 それに、同僚たちが大勢住むこの借上社宅から早く出ていきたい。 次に、職探し。 二ヶ月後までの収入は約束されているけど、それ以降は白紙状態。 生きていくためにはお金がいる。 働かなければ。 やることはこのたった二つ。 二つだけなのに、どちらも今のあたしにはヘビーだ。 でもやるしかない。 他ならぬあたし自身のことだ。 誰も助けてなんかくれないし、代わりにやってくれるわけもない。 重い溜め息をもう一度つきながら、あたしは出掛ける準備を始めたのだった。 「……ちょっと帰ってじっくり検討します」 「かしこまりました。それではこちらの資料を持っていってくださって構いませんので、よろしくお願い致します。お決まりになりましたらお早めにご連絡ください」 営業スマイルに見送られながら、あたしは帰路についた。 何してたかっていうと、ミッションその1【部屋探し】だ。 正直なところあまりいい物件が見つからなかった。 条件だけでふるいにかけすぎたかな。 いや、でも譲れないところだったからな。 いくつかの部屋の資料をもらってとぼとぼと歩く。 そもそも順番を間違えたのかもしれない、と反省しながら。 次の仕事でいかほどの賃金が保証されるかによって、賃料の幅は大きく変わる。 それだけで部屋探しは引っくり返る。 結局世の中金よ、金。 けっ。 心の中で誰に対してでもない悪態をつきまくる。 とりあえず今は部屋探しより職探しだ。 そっちを優先しよう。 この時間にハローワークはさすがに行けない。 となると今できることは家に帰って転職サイトに登録することくらいか。 準備するものは……。 「職務経歴書でしょ、履歴書でしょ……あと履歴書用の顔写真……あと何かあるかなあ」
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