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天井の防音タイルが水面を透かしているようにゆらゆらと揺らいで見える。
夜更かしをすると脳が疲れるのか、なんでもないものがよくこんな風に見える事がある。けれど僕は今しがた目覚めたところだから、むしろ寝惚けて視界が歪んでいるのかもしれない。
寝すぎたためか、酷く手足が重く感じる。時計を見ようとして、寝台の傍に友人の姿を見止めた。
「雪片……」
心なし蒼褪めた表情で僕を呼ぶ。薄く形の良い唇が微かに開いたままで、どうにも彼らしくなかった。
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