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「オレん力量がどげんか、気になりますか」
朝比がそう問うと、紫藤はくくっと喉で笑いを零した。
「そうだね、とても興味があるよ」
「ふふ…焦らんでよかですよ。オレんグレアは強いけん。きっと、紫藤さんも気に入ってくれると思うばい」
朝比の得ようとしている資格は、調教師免許である。
その為の実習なので、この紫藤邸で行われる実習内容はもちろん調教の実践である。
なんの調教なのか。
相手は、犬でも、猿でも、イルカでもない。
朝比の通う専門学校は、動物調教師の専門学校ではなく……
「君にお願いしたい子はね……実はSwitchなんだ」
対象は……人である。
調教師はDomの専門職であり、対象はSubであることが多い。だけど、今回依頼を受けたのは『Switchの調教』であった。
「ほー。そりゃまた珍しかね」
スイッチは、一般的にはあまり知られていない、珍しいダイナミクスである。スイッチは、DomでもSubでもない。
だけど、DomにもSubにもなれる、両性なのである。
「いや、先月買った子がSwitchだったんだ。珍しいし可愛いから、いい玩具になると思ったんだけど、調教の仕方が分からなくて」
富裕層ともなると、Subの人身売買はよく行われていることだった。(Switchが売買に出るのは滅多にない事なので、相当いい値だったに違いない)
調教師の資格を得れば、そういったSubをターゲットにした依頼も多くくるので、別に驚くことはない。
むしろ、朝比は胸を高鳴らせた。
「Switchの調教は初めてばい。ばってん安心してよかよ、紫藤さんが満足できよーな子に躾けてあげるけん、任しときんしゃい」
Sub以外の調教は初めてだ。
それを実習として経験できるなんて、とても貴重である。
心なしかワクワクとしている朝比に対し、紫藤もまたニヒルな笑みを浮かべ、朝比と視線を合わせたのだった。
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