金色の髪、透き通る碧い瞳

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 朝比の手によって、するする…と顔の半分以上を隠していた布が解かれた。  金色のシルクのような前髪の間からは、宝石のようにキラキラとした(あお)い瞳が、ぼおっと空間を眺めていて。  今まで見たことのない綺麗な碧に、朝比は釘付けになっていく。  まるで、西洋人形のような美しさをもっているのに……その瞳は朝比と視線を交わわせた瞬間…… 「ッ……」  心臓を一突きするような勢いで、グレアを放ってきた。  どっと溢れるグレアは、まるで暴れている猛獣のようだ。  きっとこのグレアに圧倒されてしまい、紫藤は目隠しをする他、対策を思いつかなかったのだろう。  子供にしては強いグレアを肌で感じて、思わず「……ふふっ、」と口の端をあげてしまう。  この強さのグレアを放てるあたり、Switchとはいえ、一葉はDom寄りなのだろうということが窺えた。  だけど、朝比には敵わない。  ここで朝比がグレアを放てば、一葉は一瞬で戦意を消失するだろう。 「くくっ……こりゃあ、おもしろかね。調教のしがいがあるばい」  しかし、朝比がグレアを放ち、チカラでねじ伏せたところで、それは調教とは言わない。  この2年間、調教師としての知識もたっぷり培ってきた。  その知識と技術を、この実習で最大限に使って……  一葉を調教してやろう、と、そう思った。 「あんた、だれ? いきなり笑うなんて失礼すぎない?」  三日月型にゆがめた口元をみて、一葉はより睨みをきかせた。  警戒心剥き出しの瞳が、グレアをさらに放つ。そんなグレアに怯むことなく、朝比は軽く笑いながら一葉の問いに答えた。 「今日からお前の調教師ばい、3か月間、よろしゅう」 「はあ? ふざけないで! あんたになんか従わないから!」  間髪入れずに、一葉は声を荒げる。  目隠しされている間は怯えた子猫のようだったのに。  先程とは一変…まるで懐かない虎のようだと思いながら「ふう」とひとつ溜息を吐き、一葉をじっと見つめた。
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