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午前11時30分
ガチャ、キィィーーー。
講義中の室内後方から、そっと人影が入ってくる。人影はそろそろと教室内を歩き、後ろ側の席に着席する。
「遅いぞ、後藤。また寝坊か?」
先に座っていた学生が呆れたように声をかける。後藤は「わりぃ」と小さく謝り、バッグから筆記用具を取り出す。
「和田は1限から出てたの?」
「ああ、国際文化論とってるからな。てか、お前も1限あるだろ?」
「社会学とってるよ。でも、すげぇ眠くてサボっちまった」
後藤は欠伸混じりにノートを取り出して、黒板の文字を書き写していく。
「サボったってお前、先週も休んだろ。出席は大丈夫なのか?」
「ギリギリかな。次サボったら単位落とす」
「あらら。後輩が1人増えちゃったよ」
「かわいい後輩にお昼奢ってくださいよ〜、和田先輩」
「断る。男には奢らない主義だからな」
おしゃべりするうちに2限が終わった。
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