骨董屋の盗難

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骨董屋の盗難

横浜の郊外に古民家を改造した楽丸堂という骨董屋がある。その店内の奥の隠し部屋に時間箱の貸金庫があった。その壁全体にエジプトの「死者の書」の図柄が描かれ、小さな引き出しの棚が並んでいる。 数でいうと102個。その一つの鍵が壊されて開いていた。それも無理矢理こじ開けたのか、蝶番が外れて木枠の蓋にひびが入っている。 「ひでぇーな」 それを店主の吉丸幸太とジン丸という犬が呆然と見上げていた。 店主の幸太は銀髪のモヒカン、カールしたもみあげ。背は高くスリムだが格闘家並みに鍛え上げていた。 そして、左耳に銀のリングピアスをしている。 ジン丸はファラオ・ハウンドという狩猟犬のくせに成長が止まり、むくむくと変貌して猫もどきの犬になってしまった。 幸太が左耳の銀のリングを外し、蓄音機の横でお座りしているジン丸の鼻につけてやる。 「それで、どう思う?」
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