騒めき

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騒めき

かち、かち 時計の音が止まることなく静かな部屋に響く。 それに合わせるように書類の上を滑るペンの音。 …煩わしい。 ココ最近はずっとその感情が心を占めている。 元々磨り減っていた集中力は部屋に霧散し、まだ埋め終わっていない書類からペン先を離した。 「全く、本当にどうなっているんだ。」 そういいながら窓を開けると初夏の風が部屋に舞い込み書類の上を撫でる。 ここ、“風紀室”に居るのは今や風紀委員長である俺だけ。 数週間前だったらこんな状況は有り得ないはずだが今は… いちいち注意するのも嫌になるほど…そう、一部の者は…夢中になっている。 1種のカリスマ性か?俺もまぁまぁその辺りに関してはある程度持ち合わせていると自負しているが。 “アレ”は異常だ。 そのカリスマ様のおかげで俺は終わらない書類に追われて目を回している訳だが… 煩わしい、な。 声にならず吸い込まれた言葉は胸の内にどろどろとしたものを溜めていく。 山の如く積み上がった書類を少しでも減らす為、作業に取り掛かろうと手を伸ばすと… ぴぴ、と機械音が鳴り自分の携帯の液晶が光った。 覗き込めばそこには 『食堂』 赤い文字でそう表示されている。 山積みの書類が飛ばないように窓を閉めながら上着を肩にかける。 …仕事だ。
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