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座り込んだ俺に合わせて恭弥がしゃがむ。
「っと、大丈夫か?…とりあえず部屋行く?」
「……。」
返事の代わりに頷くと軽く抱き上げられる。
「…っ、」
「全く…俺のお姫様は可愛いな…ソファがいい?それとも…ベッド?」
こいつ…
「ソファ以外の選択肢はない。」
「…はいはい、…そんなこと言いながらすげぇ可愛い顔してるの狡いわ…唆られる。」
何馬鹿なことを言っているんだこいつは。
「…手出ししたら…ナイフで刺すから…な、」
「…はいはい、自ら慧斗との未来を潰すようなことはしたくないから大人しくソファに運びますよ…っと」
何故俺との未来。…というかお前の未来に俺がいることは絶対なのか?なんて考えているとあっという間に到着したようだ。
「はい、到着。…このまま座るか。」
恭弥の膝の上で横抱きされたままソファに座る。
恭弥は前で腕をがっちり組んでいて…俺は抜け出せない。なんなんだこの状況。
「…下ろせ。」
「断る。しばらくこのままで…な。」
一体この体勢になんの意味があるんだろうか。
「…意味がわからない。……そうだ、学園内の雰囲気は…相変わらずか?」
一応聞いてみる。
「ん?あぁ、あちこちで甘い雰囲気を垂れ流してるな。…俺達も大概だが。」
「何故そこで自分達が出てくるんだ。」
「お互いの部屋行き来してこんなに密着してるのに、甘くないなんて…言えないだろ?」
恭弥が俺を甘やかしすぎなだけだろう。
……いや、さほど抵抗もしない俺も悪いか。
「お前が甘やかすからだろう。俺に対してのそれは不必要な甘やかしだ。」
「…必要だな。今まで慧斗は甘えるなんてことしてこなかっただろ?その埋め合わせを考えればむしろ全然足りないくらいだ。」
甘えるなんて…晴海の長男として、風紀委員長として…良くないだろう。
それに、甘えたいなんて…思わない。
……恭弥に触られて馬鹿になっていた時は例外だ。あの時は頭がおかしくなっていたんだろう。
「甘えたいだなんて…思ったことがない。」
「いや、違うな。…甘えたいと思っても甘え方がわからないんだろ?」
そんなことは…
「子供じゃあるまいし…甘えるなんて、」
「俺は好きな奴に甘えてもらいたい。…ほら、もっと欲張れよ。…俺が出来る事なら全部やってやるから。」
なんなんだ一体…甘えるなんて…出来るわけない。
今までは1人で出来るように努力することが当たり前で。
それは習慣…いや性格としてか?…とうの昔に俺自身に染みついてしまった。
今更になってそれを変えるなんて、無理だ。
「む、り…っ、ん…ッ…く、そ…馬鹿…っ」
触れた唇を離すため肩を掴んで押しやった。油断も隙もないな全く…
恭弥はこうやって無理矢理俺を甘やかそうとする。何に対しても大抵強引だが…俺に対してのそれは他とは比べ物にならないような気がする。
…大方、無理矢理押し切られてしまう…強引に奪って、甘やかす。
「慧斗意外と腕の力強いな…」
「何が意外だ。…俺は男だし、その辺の甘ったれたお坊ちゃん方と比べたらそれは強いだろうな。さっさと幻滅しろ。残念だが俺はそんなに可愛い男じゃない。」
そう言えば、
まるで愛しいものを見るように目を細められる。
「…幻滅するわけないだろ。すっげえ可愛い…そういうところが、可愛くてたまらないのに…全く罪深いな慧斗は…」
どういうことだ…?意味がわからない。
「は?」
「普段は男前なのに、俺の腕の中ではこんな可愛いことになるんだから…愛でたくなるに決まってんだろ。」
そのまま抱き締められた。
熱い体温が…苦しいのに…安心してしまう。

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