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夜
家に帰ると母がいない。父はいない。姉は入れ違いで出かけていった。
弟はいるのかいないのかわからない。
静かな家で黙々と宿題を消化してゆく。
1時間ほどで終わると台所へ行き冷蔵庫を開ける。
すると作りおきの食事にラップがかけてあり、レンジで温めて黙々と食べた。
テレビは最近見なくなった。全然面白くない。似たような演出、似たようなリアクション、似たような番組しかない。それならNHKのニュース見てるほうが何倍もマシかな。あと教育テレビの古典芸能番組。
部屋にもどりベッドに寝転がってスマホをみると有人からLINEが着信していたので他愛のない雑談をしばらくしていた。そうしている間に誰かが帰ってきた気配がある。
「ただいま」の一声もない。気配だけの帰宅だ。
オレも何も言わない。これが家族の状態。
LINEのやりとりもおわり。背伸びをする。もうひとつ帰宅の気配がする。誰が帰ってきても関係ない。ひとつ屋根の下に家族の単位。記号が集合しているだけ。オレはオレ。
まどろむ瞬間、だれかが問いかける
「家族ってなんだい?」
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