初恋モンスター

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「透。元気でね」 そう言って背を向けたから、青い傘が記憶から離れない。 くるりと回った傘が忘れられない。 「好きだから!一生会えなくても好きだから!!」 約束した。女の子には優しくする。 いつか君に会えたとき、胸を張れるように。 いつしか早織と少女三人は打ち解けて、おしゃべりに花を咲かせている。 「初恋モンスターさぁん、お茶まだですかぁ?」 少しばかり、癪にさわることもあるけど、今は悪くない。 台所で紅茶を淹れる透は再び外を見る。 ぽつりぽつりと傘を差して歩く人。 今日も記憶に残る日かも知れない。 そんな雨の日。 了
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