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透が公園から立ち去る姿を見ていた者がいた。
先日の鍵を失くした少女。つい歩いている透を見つけて後をつけてしまったのだが、透が猫のお墓を作っているのを少しだけ遠くから見つめていた。
透の姿が見えなくなってから、猫のお墓の前で手を合わせる少女の横にしゃがんだ。
「ごめんね。私、見てることしかできなかった」
「……ううん。いいの。透さんが助けてくれたから」
鍵を失くした少女も手を合わせる。
「透さんって言うんだ……。優しい人だよね。私も助けてもらったんだ」
「うん。お礼言えなかったけど……」
「じゃあ、お礼を言いに行こう。私、透さんの家知ってるから」
少女は少女の手を引く。
透に会いたい。そう思えるから。
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