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同級生の女の子をいじめて力を誇示していた幼い日。
突然に現れた金髪の女の子。
透が誰かをいじめる度に透の頬に容赦なく平手打ちをした気の強い子。
あんな芯の強い子ははじめてだった。
真っ向から透に向かってきた少女。
「透だって優しくなれるんだよ」
少しだけ片言の日本語。
そして、えくぼを見せる笑顔。
「透が優しくなってくれたら私は嫌いではないからね」
一言一言が優しくて強くて。
いつか相応しい男になりたい。そう思っていたのに。
一大決心をして呼び止めた雨の日。
好きだと叫んだのに。
「透。私はまた転校しちゃうんだ。今度は私も知らない国なの。でもね、私は透が好きだよ。だから女の子には優しくしてね」
「……分かった」
どうして、あの時強がったのだろう。
果てしなく切なかったのに。寂しかったのに。
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