仲のいいおじいさんおばあさんのおはなし

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仲のいいおじいさんおばあさんのおはなし

むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。 おじいさんとおばあさんはとてもなかよしです。朝も昼も夜もずうっといっしょ。なかよきことは美しきかな。 しかし、幸せな時間というものはいつまでも続くわけではありません。ある日、おばあさんはねむったまま目をさまさなくなってしまいました。のこされたおじいさんはひとりぼっち。ずっと、ずうっと涙を流し続けたおじいさん。涙はやがて川になり、海になり。おじいさんがふと水にうつった自分のかおをみると。 なんと。後ろにおばあさんがいるではありませんか。 「ああ、ずっとそばにいてくれたんだね」 おじいさんがそう言うと、おばあさんはにっこり笑います。良かった。また一緒にいられるんだ。もう絶対手をはなさない。さあ、積もる話がたくさんある。まずは話そうかな。 こうして二人はまたしあわせにくらしましたとさ。めでたしめでたし。 ....おや?どこからか声がきこえてきます。 「ねぇ、しってる?お向かいのおじいさん、なくなったそうよ」 「まあ、お向かいといえば変人で有名なあの人ね」 「そうそう。いっつも一人でぶつぶつ話してて、だあーれもいないところに嬉しそうに話しかけてたわよね。あたし、気味がわるかったからあんまり近よらなかったわ」 「わたしもよ。あれっていったい、誰に話しかけてたのかしらね?まさか....ゆうれい、とか!」 「やぁだ、怖いこといわないでよ。それより、スーパーの特売、早くいかないとなくなっちゃうわよ」 「あ、そうだったわね。いきましょう」 ....めでたし、めでたし?
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