プロローグ

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どこにでもある、ありふれた町の、これまたフツーに見える本屋さん。それが此所【こもれび書店】。ただ一つ他の本屋と違うところといえば。 並んである本が全て、なんてことはない一般人の人たちの人生を綴ってある物だということ。 この町に住んでいる人は、死後一冊の本になる。こもれび書店はその本を収納する所であり、本になった人と縁がある人々が故人を懐かしんで訪れる場所である、というわけです。 あ、申し遅れました。私、店長の日向 百合絵(ひなた ゆりえ)と申します。隙間時間にすこーしずつ【本】を読み進めるのが趣味です。ええ。人々の赤裸々に紐解かれた人生を見るのは非常に面白いですよ。 ふむふむ、趣味が悪い、ですか。まあそう仰らずともよいではありませんか。 そうです、お客様もご覧になっては如何です?いつのまにか【本】の魅力に気付いて夢中になるかもしれませんし。特別に私直々に読み聞かせして差し上げましょう。 ああ、拒否権はありませんので。では、まずこちらから――――
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