~3~

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 毎週末お台場のペットショップに犬を見に行くのだが、その日は珍しくゆりかもめが止まっていた。今日は行くのをやめようかとも思ったが、なんとなく落ち着かないので、結局大崎からりんかい線で行くことにした。ペットショップに特にお目当ての犬がいるわけではなかった。先週目に止まったバゼンジー、エジプトの決して吠えないという犬が額にしわを寄せて見上げていた。 「君は高貴な感じだな」  別のケージにはチャイニーズクレステッドドッグ、世界一醜い犬がファンタジー映画の妖精のような雰囲気で(たたず)んでいた。  フロアーの中央に、先週まではなかった八角形の全面アクリルのケージがあり、仔犬が二匹入れられていた。二匹とも耳と目のまわりは茶色、体はほぼ真っ白で、一匹のやや大きな方には、まあるい尾留めがあった。尾留めとは、尻尾の根元のブチのことだ。もう一匹、少し小さな方は尻尾の先まで真っ白だった。二匹は元気いっぱいにじゃれあっていた。飛びかかり、組み伏せ、逃げ回り、追いかけ回っていた。二匹のレスリングは永久に終わらないかのようだったが、小さなシマウマのぬいぐるみの争奪戦が始まり、尾留めのある仔犬がシマウマを奪い取った。尾留めはシマウマと遊びはじめ、一匹取り残された尻尾の白い方は、かたわらでちょこんとおすわりをしていた。  男はケージに近づいた。顔をさらに近づけると、小さい方、尻尾まで全部白い仔犬が男に気づいて駆け寄ってきて、透明アクリルにぶつかって倒れた。犬はぷるぷる身震いするとまたやってきた。今度は後ろ足で立ち上がって男に近づこうとして・・・後ろ向きにひっくり返った。そして、またやってくると、また後ろ足で立ち上がって、ぴょんぴょんジャンプした。一方で尾留めの方は、シマウマに夢中で男に気づきもしない。  尻尾の白い仔犬のピンクの舌が、アクリル越しに男の顔をペロペロ舐めようとした。よく見ると、マズルの少し右寄りにブチが綺麗に直列している。 「いち、に、さん、し、ご・・・お前は5つ星だな!」
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