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コツン、と音がして、男は目を覚ました。つけっ放しの読書灯、灰色の色鉛筆が床に落ちて芯が折れていた。
「また、クロエの夢・・・」
もしかしたら・・・もしかしたら、この絵を描いているからクロエの夢を見るのだろうか?絵を描けば、元気なクロエに会えるのだろうか?
男は色鉛筆を拾い上げると、鉛筆削りに差し込み、そっと削った。芯の割れた部分を丁寧に紙でならすと、犬の毛を1本1本描き始めた。
スーッスーッスーッスーッスーッスーッスーッ・・・
再び、セルフ催眠術。日頃から寝不足気味なこともあり、ものの5分と経たないうちに寝入ってしまった。
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