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 男は犬をケージに下ろす。犬はぷるぷるっと身震いし前足をストレッチ、水飲みのボールをカラカラと舌で転がして水を飲む。男はキッチンに向かうと、ココットにドライフード、赤ちゃん用のチーズ、犬用の煮干を混ぜ、犬のごはんを作る。ごはんの気配を感じると犬は口のまわりをベロベロ舐めて待ちきれない。ケージに入れると、犬は瞬く間にごはんを食べてしまう。舌で口のまわりを舐めている犬に男は呆れる。 「もっとゆっくり味わったりしないのかな?」 (犬って肉食なの。肉食動物は丸のみが当たり前なの) 「そうなの?」 (ホオジロザメ、イルカ、ライオン、タカ、蛇、コモドオオトカゲ・・・) 「じゃ、味って関係ない?」 (関係ないです。牛みたいにモグモグしないのよ!) 「じゃあ、『うちの猫ちゃんはグルメだから、高級食材しか食べないざます』ってのは?」 (味はどうでもいいけど、新鮮さは大事かもね) 「・・・」 (どしたの?) 「クロエとさ、こんな風に話しができるのって・・・何か変じゃない?」 (あ・・・) 「もちろん、今までも『ごはん』『水』『散歩』『かけっこ』とかは、わかってたよ」 (うんうん) 「『いい散歩だったね』とか『大好き』も何となくね」 (『バカなポメラニアンだわ』とかも?) 「そんなひどいこと言ってたの?」 (まあね~) 「でも、さすがに『コモドオオトカゲ』って・・・」 (おかしいよね?) 「うん、何かおかしい」 (わかっちゃったか~) 「どういうこと?」 (・・・)
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