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「弓削くんの言う通りだよ。私は死にたい」 「マザーGには相談してるのか? メンタル」  紫は弓削をキッと睨みつけた。 「そんなことするはずないじゃない。そんなことしたらどうなると思う?」 「カウンセリング地獄だな。下手するとVR刑に近いこともするかも」  2256年現在、連続殺人や無差別殺人の凶悪犯罪や強姦、強制わいせつ、痴漢などの性犯罪にはVR刑が適応されることが多い。現実か非現実か全く見分けのつかない世界で五感もしっかりと感じる最新の技術が駆使された罰はかつて日本で一般的だった「死刑」よりも残酷だと人権保護団体から訴えらえれることもある。被害者が受けた苦痛を確実に再現するため自殺する受刑者もいるからだ。  けれども、被害者がもっとも求めるのもVR刑なので撤廃されることもないだろう。  弓削の言うVR刑に近いこととはカウンセリングなどで時々行われる体験プログラムのことだ。 「そんなの、まっぴら。児相の面談が嫌だって言うなら分かるでしょう」  シーッと弓削は紫に静かにするよう促した。興奮した紫に反応して翠の時のようにマザーGが来てしまってはまずい。
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