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「死にたいなんて言ったらどうなるか一応確認しただけだよ。でも普通はメンタルのことはマザーGに相談するんだろう? もしくは感知してくれてるはずだ」
「相談しないで済むようにしてるし感知されないようにものすごく気をつけてるから」
「そこまでする意味が分からない。相談して死にたくないって思えた方がよくない? 生きてた方が死ぬよりよくない?」
紫は深々とため息をついた。
「死にたい人間に、生きてた方がいいって説得が通用すると思う? 弓削くんってもっと賢い人だと思ってた。母親から生まれて第一高校に来れたくらいだもん」
弓削は紫の言い分に片方の眉毛を上げた。
「あー。今のはかなり差別的な発言って自覚してる? 普通の母親じゃあ、たいした教育は受けられないとでも?」
「ごめん。そう取られても仕方ないこと言った。でも第一高校の卒業生に母親から生まれた人ってほとんどいないでしょう?」
「それは母親から生まれるこども自体が少ないから分母の違いに過ぎない。まあ佐良山に賢いと思われても何の得にもならなさそうだから。むきになって悪かったよ。けどなあ第一高校の優秀さってしょうもない優秀さでしかないだろ?」
「そう思う? だとしたら、やっぱり弓削くんは賢い人だと思うけど。しょうもない優秀さ。それが私が死にたい理由の一つかも。私たちが将来出来ることってせいぜいAIやアンドロイドの管理でしょう? そして、マザーGにこどもを生ませて育てる。こんなしょうもない人生って続く必要ある?」
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