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弓削は唸りながら考え込んだ。
「俺はしょうもないかもしれない人生でも続いていてほしいけどな。生きてて楽しいと思えることないわけ?」
「ない訳じゃないけど、この飼われているとしか思えない状況のことを毎日考えるたびに死にたくなる」
「飼われてるって誰に?」
「AIとかマザーGとか日本政府とかかな?」
「そう思うんだったら、そういうのを啓蒙する方向に死にたい気持ちを傾けていけばいんじゃないのか?」
紫は深々とため息をついた。
「正当に不健全でいるために健全な方法をとって挑むなんて滑稽すぎるでしょう?」
「正当に不健全って言葉自体が健全な気もするけど……。まあとにかく死にたいんだな?」
「今すぐにでも」
弓削はまた何やら考え込んでから何かを決心したように紫を見た。
「あまり首を突っ込みたくない案件だけど、そこまで言うなら協力してやるよ」
「私が死ぬのに手を貸してくれるって言うの?」
「手は貸さないけど、津山の死因を探るくらいはしてやる。けどたぶん佐良山の望んでいる答えには辿りつけないと俺は仮定してるんだが」
何か言いにくそうにゴニョゴニョと呟いてから意を決したかのように、弓削は紫にある計画を話し始めた。
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