【職業選択の自由~あはは~ん♩】

7/7
前へ
/15ページ
次へ
「じゃあ、そうだな。もう5時か。少し待ってろ。 ちょっと用事を済ませておくからな」 「はい」 ひとまず、今日の泊まるところはなんとかなりそうだ。 職もこんなにあっさりと決まってしまうとは なんて良い時代なんだ!バブル時代。 「よし、付いて来い。車で行こう!」 なんと社長の運転で向かうことになった。 社長の車は白のクラウン。 平成時代の車とは違うが、いかにも高級車という感じだ。 「大きい車ですね」 「おう、まあな。ほれ早く乗れ乗れ」 「お邪魔します」 車が動き出すととても静か…乗り心地もいい、なんだこれは。 「おう、そうだ。食事の支度をしとかんといかんな」 そういうと社長は、おもむろに運転席と助手席の間に手を伸ばす。 そこから出てきたのは、家の電話のような大きな受話器。 信号待ちで止まっている時にダイヤルをし 「おう、ワシだ。 今日客を一人で連れて行くんで食事を用意しておいてくれ もうじき、帰る。 ああ、じゃあ頼んだぞ」 「社長それは?」 「ああ、これか?車載電話だな」 「車載電話?」 「知らんのか?」 「はい」 「あー、携帯電話はわかるか?」 「はい」 「それを車に搭載したもんだよ」 「へー…」 「結構高いんだぞ。この機械だけで20万もするんだからな」 「20万?!」 「そう、さらに契約料が月に三万。通話料金は一分100円くらいだったかな?」 「随分お金がかかるもんなんですねぇ」 「まぁ、一種のステータスだな。こういうのを持っていて ”稼いでるぞ“ と見せないといい仕事も取れないもんなんだ」 「そういうもんなんですね」 「そういうもんだ」 平成時代では、携帯電話なんて手帳くらいの大きさで 基本料数千円、通話料金も無料分が付いてきて 下手すれば小学生も持っているのに すごい時代に来ちゃったなぁ…。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加