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面接会場に指定された会社に行くとすぐに応接に通してくれた。
面接にはいかにも「おしゃれな感じのコンピュータ系の会社で働いてます。」と言う感じの紳士が対応してくれた。
「こんにちは、ここの所長の岡本といいます」
「あ、こんにちは、山田です。」
(もういいや、名前は山田で行こう)
「今日は面接にいらっしゃってありがとうございます」
「はい、よろしくお願いします。」
「さっそくですが、山田さんはコンピュータの経験がおありだそうで?」
「はい、前せ…ゴホンゴホン、専門学校在職中にアルバイトでやった事があるものですから」
「ほう」
「それはいいですね」
「ご住まいはどちらで?」
「実は、昨日引っ越してきたばかりなんですがアパートが火事で焼けてしまいまして…」
「おやまあ、お怪我は大丈夫ですか?」
「はい、幸い出かけていたので問題なかったのですが
家財道具や身分証明ができるものが今全くなくて・・・」
「おや、それは困りましたね…」
面接をしてくれている岡本さんの顔が曇る。
そりゃそうだ、名前も住所も確認できない奴がきて
採用されるほど甘くはないかな・・・
「うーん、そうですか・・・」
やっぱりダメかな・・・と思った頃。
「ピーンポーン」
「あ、社長お帰りなさい。今、求人の募集に来てくださった方が居まして」
「おお、求人に来てくれたか」
「どれどれ、ワシも面接しようじゃないか」
「やぁ、こんにちは、ワシはこの会社の社長をしている小野寺だ」
「あ、こんにちは。山田と申します。宜しくお願いします」
と、顔を挙げた瞬間。
「ああっ⁉︎」
「え?」
「君はさっきの・・・」
「へ?」
小野寺といった社長さんはさっき公園のベンチで忘れ物をしていた中年男性だった。
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