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「どうしよう? やっぱ俺の鼻、当てになんねぇってことだよな?」
「そういうことになるな」
こういうところ、秋連はにべもない。
脇へ避けていた眼鏡を手にして弄びながら、口の端に微笑を浮かべて即答する。
そのセリフにうなだれる俺に、
「嫌ならニョロを誰かにやるとかすりゃ手っ取り早いんじゃない?」
「それだけは絶対嫌だ! んなことするぐらいなら恋人なんて要らねぇ!」
「……当然だな」
どうやら俺を試したらしい。
先程より口の端に湛えた笑みを濃くして、秋連がつぶやく。
「分かってんなら言うなよ……っ」
その態度に、ちょっとムッとして吐き捨てると、
「俺の鼻で良けりゃ貸してやるけど? どうする?」
願ったり叶ったりの提案が成された。
「――ただし」
この付け加えさえなければ――。
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