バスが来た

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バスが来た

 校庭の隅に、中型のマイクロバスが停車した。 「運転手は手配してある。轟さんの弟子の下級悪魔だ。バスの座席はラグジュアリーに改装されていてエアコン完備、ハードディスクには約2万枚のCDが録音されている。リムジンバスタイプに座席配置してあるから愛人嫁全員と一度にイチャイチャ出来るぞ。全尻を一列に並べるがいい」 「ゴーマ。お前、俺を何だと思ってんだ?」 「そう言う奴だって思われてるんでしょー。さっさと乗り込むわよ。フランチェスカ真ん中でいいんじゃない?」 ミラージュだかマリルカだか言う女王は言いながらさっさとフランチェスカを伴って入っていった。 「こっちの世界の温泉に興味がある。うちのジャングル風呂に勝てるかどうか」 そう言ったのはエメルダとか言う首長だった。 「温泉にワクワクです。先生が飛ばされた世界を観光するのも驚きです。トンニュラは置いてきました。ブリュンヒルデは行きたがってましたのに」 「ブリュンヒルデは今収監中ですわ。ジョナ・ブリの薄い本をアカデミーに持ち込んだ罪で一週間書き取りの刑ですわ」 「私としては女だらけの温泉旅行ってだけでご飯8杯いける。それにしてもフランチェスカ先生相変わらずエロい。そこのアースワンの極上のお嬢さん、一緒に行きませんか?」 女達はそんなものだった。異世界のテクノロジーを平然と使いこなすことに何の躊躇もないようだった。 「なあジョナサン。お前の携帯貸してくれ。祓魔課で解析してコピーしてみる。俺にも動かせるのか?」 「魔法が全く使えないユノでも問題なく使えるようにしてある。そんなに凄いのか?魔力バッテリーかコンデンサーか?気になるのは。お前の携帯からこっちの携帯にかかるように魔王が弄った。多分問題ない。お前の連絡先教えてくれ。最新モデルだ。赤外線通信機能付きだ。お陰でサウスフォートはアースツーでも一番の経済成長率だし、地価はうなぎ登りだし内政は大変そうでな?」 「その魔王だ。そいつを呼んでこいよ。アカデミーにあったプラズマビジョンも携帯も、察するに今頃の技術だからな。会って話がしたい」 「魔王は来ないとさ。懐かしくて帰りたくなくなるんだろうな。魔王がこっちに来たのは300年前だった。双方向の時間軸のズレは調整してあるから、何かの弾みで向こうに飛ばされた奴がいてもまあ安全だ。じゃあ行ってくる。温泉楽しみにしとくよ」 乗り込もうとしたジョナサンを、勘解由小路が引き留めた。 「待て。悪いことは言わん。黙ってこれを持っていけ」 小さな小瓶をそっとジーパンのポケットに忍び込ませた。 言うのを忘れていたが、ジョナサンの格好はタイト加工のジーンズにカーキ色のジャケットを着ていた。ここに来る前既に買い物は済ませていたらしい。 「仙桃と言うのがある。濃縮還元100パーセントだ。ここぞってところで飲め。結構凄いぞ。俺はこれで256回を達成した」 何か言いたいのを飲み込んで、無言で頷いた辺り、こいつも勘解由小路も、子作りに関しては同レベルの生き物であることが解った。そもそも5人も愛人連れている時点で終わっている。平然としている王妃からしておかしかった。 「ありがとう。ゴーマ」 「王先生と王妃先生に敬礼!ご無事を祈っております!ご愛妾(あいしょう)様達との関係が無事成就することを祈っております!太陽神ソルスに焼かれろ!このスケべが!」 「言葉は丁寧だが毒吐くなお前はああああああああああああああああ!頼むぞユーリディス。ソルスの件は完全に忘れろ」 マイクロバスは去っていった。 「まあ、あいつ等ならそれなりの霊災でも大丈夫だろう。ちょうどトキが持ってきた話だったし。あいつの嫁の霊撃力は大したもんだし、あのちっこいのは。まあいいか」 丸投げするのか。異世界人に。 「ああそう言えば、あいつ何してるんだ?」 「さあ。どっかで排泄されてんじゃない?」 紀子はそんな風に言っていた。
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