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Gの位置はテレビの真上――美希ちゃんと穂乃果ちゃんの50センチ上部。
Gの左横は閉め切ったカーテン。右横は少し行くと部屋の隅――行き止まりだ。
俺は移動し、まず左手でそっとカーテンを捲り、静かに窓を開ける。
これでGの左横には捲れたカーテンと、開け放たれた窓という状況ができあがる。
作戦開始。
俺は右手に握ったタオルの端を見遣り、Gとの距離を測る。
肘と手首のスナップを駆使して、鞭を打つように、タオルを叩きつけるのだ!
狙いはG――ではなく、Gの少し右横の壁。そこにタオルを叩きつけることで、衝撃とともに風圧を発生させ、Gを驚かせる。当然己の右側で衝撃が起これば、咄嗟に左へと逃げるであろうGを待ち構えるのは捲れたカーテン。そいつを、逃げてきたGに浴びせかけ、行き場を絞られたGは必然的に、開け放たれた窓から外へと出て行く!
そう読んだのだ。
「ふんっ!」
俺は狙い通り、タオルの端をGの右横に叩きつけることに成功する。
Gは読みどおりに驚き、飛んだ。
「ッ!?」
Gは捲れたカーテンの淵を優雅に飛び越え、窓ではなく、俺の方に向かってきた。
「ああああああああああああああッ!!」
Gは飛びこそするものの、あまり飛行能力は高くなく、滑空程度しかできないらしい。
飛んでも、どこかにすぐ降りたいのだ。
Gからすれば、手ごろな距離で、すぐに降りられる高さをもつ着陸地点がたまたま俺の頭だったということなのだろう。
Gは俺の前頭葉付近に抱きついてきた。
「はぁあぁあぁあああああうッ!?」
俺はバックステップで後退しながら半狂乱に頭部を振り回した。
すると、おでこの上辺りの、トラウマになること間違いなしの不気味な感触が消えた。
ヤツは俺の頭から離れたのだ。
「――――」
だがそれで終わりではない。
戦闘はまだ続いている。
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