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『目標、ロストコンタクト!』
少し余裕を取り戻した俺は脳内で相変わらず大好きな妄想を展開しつつ、周囲を見回す。
ヤツは、今度はカーテンの左横の壁に張り付いていた。
まずい。
左横の壁には、軽音部の中○梓ちゃんのポスターと、某2人組ロックバンドの稲葉〇志さんと松本〇弘さんのポスターがある。その15センチほど上に、Gは張り付いている。
「……」
俺は1つ思い出した。中学生時代に買ったエアーガン――ベレッタM92の存在を。
こうなったらやむを得ない。
チラチラとGの位置を伺いつつ、俺は押入れから発泡スチロール製の箱を取り出し、ベレッタにBB弾を、狙いを外した時のために3発込めた。
そして俺がGに向き直った瞬間、殺気を感じたのか、Gがカサカサ動き、中〇梓ちゃんのポスターの上に移動した。
「あずにゃあああああああん!!」
真夏の深夜。俺の3度目の奇声がご近所さんに響き渡る。
あずにゃんが!
俺の嫁候補のあずにゃんが、人質に取られた!
おのれぇい、Gめ!
ツインテールでGにゃんとか言われてたあずにゃんの上に張り付きおって!
「許さん!」
怒りで恐怖を塗り替えた俺は再びタオルを掴み、中〇梓ちゃんのポスターの僅かに上を叩く。
それにビビッたGはそそくさと下り、床まで降りてきて、そこを、俺のベレッタが迎撃した。
バツッ! という発砲音と共に、黒が弾ける。
ちゃっ。
俺のメガネに、くの字型の黒いナニカが張り付いた。
俺は〝カッ〟と目を見開き、
〝緊急対応精神防御固有結界術――マインドフルネスッ!!〟
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