1.inside

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白い渦を作るクリームを混ぜ、死神はひと匙スプーンで掬うと、それを皿の端で一度止める。 その仕草でふと。この人は昔、家族に病人が居たのではないかと思った。 病人や高齢者に食事をさせる時、よくこうやってスプーンの上で熱を冷ます人がいる。 子供に食べさせる時なら、最初からあまり温め過ぎないようにするか、早く冷ますためにスプーンの上でふうと息を吹きかけることが多いだろう。 子供を世話する母親なら忙しいが、病人や高齢者相手なら、急かさないよう気をつけて世話をするせいだろうか。 とにかく。若い死神は、特に意識する様子もなく、今、自然にそれをした。 「自分で食べられますよ」 それが彼の仕事だとはいえ、これはいくらなんでも過保護だと思い、私がそう言ったが。 死神は黙ってひと匙のスープを、私の口元に近づけた。 温めたミルクの、濃厚な甘い香りが漂う。 唇に触れたポタージュは、もう熱くはなく丁度良い温度になっていた。
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