1.inside

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「それで。私は何時頃に【死ぬ】予定なのでしょうか? 教えていただいて良いですか。 このような事情とはいえ、先が分からないというのは少し怖いので……」 私が言う。 死神は目顔で軽く頷くと、黒スーツの内ポケットからアンティークな懐中時計を取り出す。 冷たい美貌が離れ視線が動いた隙に、さっと置いてあったスプーンを奪い返した。 食事の間中ずっとあれでは、さすがに気が休まらない。 死神は特に気にした様子もなく。 「午前3時。死因は薬物の過剰摂取による自殺ということになります。 その少し前に迎えが来ますので、連絡が来たらすぐに移動しましょう。 ここだと、無関係なホテル関係者に迷惑をかけてしまいますので」 「そんなに深夜なんですね」 「はい。やはり出来るだけ、人目に付きにくい時間帯が望ましいですので」 「眠ってしまいそうですね。 ふふ、時間迄にもし本当に私が眠ってしまったら、死神さん、貴方が起こしてくれますか?」 「御心配には及びません。 もしも本当に眠ってしまわれたら、そのまま抱えて私が目的地までお運びします」 服の上からだとほっそりした体型のようだが、本当に女ひとりを抱えて運べるのだろうか。 「……むしろ、貴女が眠っていた方が、私の気も休まるでしょうね。 わざわざ知らなくて良いことというのも、この世にはたくさんありますから」 愁いのある、男にしては長い睫毛を伏せ、死神が独り言のようにそう言った。
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