196人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
城戸恒祐とは中学から一緒で、男女入り交じった仲良しグループでいつも何かとつるんでいた。
名前で呼び合って、冗談もくだらない話も気兼ねなく言い合える仲。
中学の頃から、時々付き合ってると勘違いされたりして、否定しながらも内心満更でもない私がいた。
誰にでも分け隔てなく接する恒祐は、他のクラスにも友達が多く誰からも好かれる存在だったけど、
それでも、
恒祐に一番近い女子は、間違いなく私だった。
私の、はずだったのに……
小柄で、華奢で、つぶらな瞳の小動物のような奥原さん。
私とはまるで正反対のタイプの彼女のことを、目尻の下がったデレた表情で「なんか放っておけないんだよな」と気恥ずかしそうに笑った恒祐。
そんな恒祐に、私は「へぇ、ノロケちゃって!聞いてらんないわ」と返すのが精一杯だった。
聞いてられない、
これ以上恒祐の口から彼女の話なんて……
最初のコメントを投稿しよう!