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14年前…15歳の春、
俺がその人を初めて見たのは
開陵高校入学式の時だった。
3年生の生徒会長と紹介され
在校生代表として祝辞を読んだ櫻井優一は、
セットしてあるマイクを
自分の高さにあげなくてはいけないくらい身長が高く
肩も広くて体格は大人の男性そのものだった。
ブカブカのブレザーを着た俺たち一年生とは違い、
自分の体型にきちんと合ったものを着ていて、
それだけでカッコ良く見えたのだが、
落ち着いた低い声に、クールな眼差し、
そして、体育館の天井窓からスポットライトのように降る光に
照らされる姿が神々しく見えて、
息をするのを忘れるくらい、ただただ見とれていた。
彼がステージ上にいたたった3分の間で
今まで生きてきた世界が
モノトーンだったかと錯覚してしまうくらい
何もかもが綺麗に色づいて見える世界へと変わった。
一目惚れだった。
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