第1章:First Sight

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午前の外来は難なく終わったが、 午後は、分娩が立て込んだので、忙しかった。 いつ何が起こるか分からないのがお産だ。 「お疲れ様。」 緊急帝王切開が無事終わり 夜7時過ぎに今日の櫻井先生と俺の仕事は終わった。 ロッカールームで、 汗のかいたスクラブを脱ぎ、 Tシャツに着替えた。 一方の櫻井先生も着てきたらしいワイシャツのボタンを閉めていると 看護師から再び呼ばれた。 最後のボタンを閉める前に、秒で脱ぎ 控えのスクラブをロッカーから取り出した。 「当直の先生もいるし、 お前は、今日は帰れ。」 スクラブに白衣を羽織った櫻井先生は 俺にそう告げると 看護師と共にあっという間に去って行った。 俺は、自分のスクラブと、櫻井先生のスクラブを 洗濯機に放り込み、 スマホを眺め、しばらくベッドの上で座っていたら ウトウトしてきて、そのまま眠ってしまった。
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