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第1章:First Sight
腹部にのしかかる重みと
いるはずのない人の気配で、
まぶたが開いた気がしたが
これはきっとまだ夢の中だろう。
「・・・櫻井先輩」
曇ったガラス越しから見えるような
霞んだ初恋の人の顔が目の前にあり、
ついその人を呼び止めてしまう。
面長の顔に、切れ長の奥二重、
高くてスッと筋が通った鼻、
厚さも色素も薄い唇。
芯の太い黒髪は
頭の奥にしまった記憶よりもさっぱりしていて、
目の下のくまも深い。
ああ、きっと、もし今会ったのなら
こんな顔してるんだろうな・・・
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