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山本えれな。15歳。
櫻井先生の背後から
パソコンのスクリーンの中に映された情報を読んだ。
未成年の予期せぬ妊娠。
よくあることだ。
大半は中絶という結論をすでに持ち
こちらにやって来て、
妊娠の確認と、中絶手術の予約を取っていく。
しかしこの子は死んだ魚のような目で、
母親が「おろします」と言うのを隣で聞いているだけで、
ずっと黙り込んでいた。
壁のみで仕切っている内診室に少女だけ移動させ、
経膣エコーで胎嚢を確認した。
「ちゃんと妊娠してるね。」と櫻井先生は小声で少女に告げた。
薫ちゃんは、表情一つ変えない彼女に、
終わったからまた服を着るようにと伝え
内診台の側にある着替えスペースのカーテンを開いた。
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