第2章:First Kiss

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「先生はね、君が決めたことなら どっちでもいいと思ってるんだ。 もちろんここでは妊娠と出産のお手伝いをしているわけだけど、 妊娠っていうのは、出産して終わりじゃ無くて、 子育てへと続いていって、 そこからが一番母親にとって大変なんだ。 妊娠して出産までは10ヶ月ほどだけど、 子育てはそれから20年前後続いていく。 だから何歳であろうと その覚悟があるのなら、産んで育てればいい。 だけど同じように何歳であろうと、覚悟がない人間に 子供は簡単に育てられないんだ。 もちろん、育てる覚悟がなく産んだとしても、 里親に出したり、施設に預けたり、 色々なオプションはある。」 「はい。」 「中絶するにしろ、しないにしろ、 まだ時間はあるから、その間悩めばいい。 産むも、諦めるも、君次第。 どんな決断をしても、喜ぶのも、苦しむのも、君なんだ。 だって妊娠してるのは君だろう? お母さんじゃないだろう?」 「・・・少し・・・考えて・・・みます。」 「じゃ、お母さんを呼んでもいいかな?」 「はい。」 「先生から、お母さんに言おうか?」 「・・・大丈夫です。自分で言います。」 あんなに硬かった彼女の表情が 少し和らぎ、目には光が見えような気がした。
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