第1章:First Sight

6/19

4588人が本棚に入れています
本棚に追加
/214ページ
寝起きで力の入らぬ足を無理やり立たせ そのまま二人について分娩室までいくと、 別の看護師が陣痛の痛みで泣き叫ぶ妊婦の腰を押さえていた。 妊婦の下半身の方でその様子を見ていた ベテラン助産師の金田さんが 俺たちに気づき、 「あ、櫻井先生、お帰りなさい。 もう子宮口9cm開いています。」 と告げた。 「もうすぐ産まれますよ。」 と櫻井先輩・・・先生は妊婦に優しく声をかけると、 手を洗いラテックスグローブをはめた。 「ほら、お前も。」 「はい。」 言われるがまま俺も一連の準備を済ませ、 168cmの俺よりも15cmほど高い彼の後ろについた。 数回陣痛の波を超え、 「もう無理ー!!!」 と叫ぶ妊婦に 金田助産師が 「頭見えて来たよ。次の陣痛でイキんで。」 と言い、数秒後にまた来た陣痛で 妊婦は大声を出しながら、力を入れると 赤ちゃんの顔と肩が同時にツルンと出て来た。 金田助産師は慣れた手つきで その肩を引っ張り、赤ちゃんを取り出した。 「あとは先生たちお願いします。」 そう言い、へその緒を切り、 赤ちゃんをお母さんとなった女性に抱かせた。
/214ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4588人が本棚に入れています
本棚に追加