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寝起きで力の入らぬ足を無理やり立たせ
そのまま二人について分娩室までいくと、
別の看護師が陣痛の痛みで泣き叫ぶ妊婦の腰を押さえていた。
妊婦の下半身の方でその様子を見ていた
ベテラン助産師の金田さんが
俺たちに気づき、
「あ、櫻井先生、お帰りなさい。
もう子宮口9cm開いています。」
と告げた。
「もうすぐ産まれますよ。」
と櫻井先輩・・・先生は妊婦に優しく声をかけると、
手を洗いラテックスグローブをはめた。
「ほら、お前も。」
「はい。」
言われるがまま俺も一連の準備を済ませ、
168cmの俺よりも15cmほど高い彼の後ろについた。
数回陣痛の波を超え、
「もう無理ー!!!」
と叫ぶ妊婦に 金田助産師が
「頭見えて来たよ。次の陣痛でイキんで。」
と言い、数秒後にまた来た陣痛で
妊婦は大声を出しながら、力を入れると
赤ちゃんの顔と肩が同時にツルンと出て来た。
金田助産師は慣れた手つきで
その肩を引っ張り、赤ちゃんを取り出した。
「あとは先生たちお願いします。」
そう言い、へその緒を切り、
赤ちゃんをお母さんとなった女性に抱かせた。
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