背中合わせ

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「えっと、いつもああなの? アリスって」 「そう、通常運転よ。朝から晩までね」  ウィルの質問に素っ気なく答えてから、リリィはウィルの顔をジッと見た。 「え、何?」 「別に、何でも無いわ。それより、方向は合ってる?」  そう言って話をはぐらかし、リリィは考えていた。  何の偶然かは知らないが、アリスの想い人は案外呆気なく見付かってしまった。  こんなにも早く、旅の最大とも言える目的が達成されるとは予想していなかったので、リリィとしては次の目的を何に置き換えるか一度アリスと検討したいのである。  一応、アリスのやりたい事は幾つかあるので、他の四大勇者を探しながら、魔族を倒しながら世界を回るつもりではいるのだが。  このままウィルと行動を共にする事が、アリスにとって辛いものになるのなら、離れるというのも選択肢に入ってくる。  封魔の塔に向かう必要は既に無いという事実も手伝って、ウィルには何かしらの理由を付けて別れる事も出来るのだ。  アリスがそれを望むなら、何時でも。 「ねぇねぇねぇ、ウィルの住んでる家って、どんな家!?」  アリスがかなり食い気味にウィルに質問した。  テーブルに置かれた甘いお菓子を見た子供のように燥ぎ、知る事が叶わなかったウィルを知ろうとする。
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