Epilogue

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 情事のあと、僕はベッドで眠る葵咲(きさき)ちゃんを置いてお風呂にお湯を張りに行った。  ふと見ると、当たり前なんだけどシーツに血が付いていて、彼女の内腿のあたりや、それこそ僕の下腹部も赤く染まっていた。 (初めて、だったんだな)  彼女の態度を見れば一目瞭然だったけれど、こうしてまじまじと証拠を突きつけられると、何となくにやけてしまう。  別に処女信仰があるとかそういうのではないんだけど、自分の好きな子の初めての相手が僕なのだと思うことはかなり嬉しかった。  そう考えてから、自分はさっさと別の女性と筆下ろしを経験しておいて勝手な感情だな、とも思った。  無防備に裸のまま、布団のなかで眠る葵咲ちゃんに、思わず笑みが(こぼ)れる。 「いい加減目を覚まさないとまた襲うぞ」  彼女の鼻の先を軽くつまみながらそう脅してみても、無反応。  相当疲れているんだろう。  帰宅直後、グラスに注いだまま口をつけていなかった麦茶を飲みながら、そんな葵咲ちゃんの寝顔を堪能する。
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