*嫉妬

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 唇を奪われた弾みにそこにあった大樹に押しつけられて、身体を引きたくても動けない。  彼を押し退けようと厚い胸板に手を当てると、邪魔だと言わんばかりに一纏めにされて絡め取られた。  片手で簡単に動きを封じられてしまうことに、理人(りひと)の男を感じてしまう。  私の抵抗を封じた理人が、口づけながら空いた方の手でブラウスのボタンを1つずつ(くつろ)げ始めた時にはさすがに焦った。 「り、ひとっ。やだっ、ここ……外っ」  何とかキスの合間を縫うように抗議の声を上げるけれど、彼は聞く耳を持たないとばかりに、私を熱に浮かされた目で見つめてくる。  さっきまでの無表情が嘘みたいな、追い詰められた獣みたいな表情に、私は思わず現状も忘れて見惚れてしまった。 「僕を、こんな風に追い詰めたのは葵咲(きさき)だろ?」  新幹線の中からずっと、君を抱きたくて堪らなかった……!  まるでうわ言のように、熱い吐息とともに感情をぶつけてくる理人。  ブラウスのボタンを全部外し終えると、理人はブラのホックまで外してしまった。 「――僕が好きなら抵抗しないで?」  まるで懇願するようにそう言うと、彼は私の戒めを解いた。  すぐに胸を隠したかったけれど、理人の泣きそうに苦しげな表情がそれを躊躇(ためら)わせる。  そんなことを言われたら、私が抵抗出来なくなるのは分かっているくせに……理人はずるい。 「意地悪……」  ギュッとスカートを掴んでそう言って、彼を睨むのが私に出来る精一杯の抗議。  彼は私に抵抗する意思がないのを確かめると、ホッとした顔をした。  そればかりか、私が理人のことを好きな気持ちを試すように、肩ひもをずらす様にして肌蹴させた胸を、色づきに沿って弄んでから、先端の敏感なところを口に含む。そうしながら上目遣いで私を見つめて問いかけてくる。
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