*嫉妬

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「ねぇ葵咲(きさき)、彼とは親しかったの?」  いつも私を見下ろすばかりの彼からのその視線は、私の羞恥心をいたずらに煽った。  彼が言葉を紡ぐたびに、彼の口に含まれたままの先端に、甘やかな刺激が走る。 「あんっ。……理、人っ、それ、やぁっ」  そんな酷い仕打ちをされても尚、彼を押し退けられない私は、理人(りひと)のことが好きでたまらないのだと自覚する。  余りの羞恥心と激しい刺激に、嫌だと訴えても、彼は許してくれなかった。  背中に触れる木肌のゴツゴツとした感触が、いやでもここが外なのだと思い起こさせる。  理人は執拗にそこを責め立てて固くしこらせると、そこでやっと私の求めに応じたようにチュッと音を立てて突起を吸い上げてから、不意に解放する。  途端、限界まで感じさせられてほんのりと(あけ)に鬱血した先端が、外気に晒されて、ふるり、と震えた。 「りひ、とっ、も、許してっ……」  人気のない山の中とはいえ、外で胸を露出させられていると言うことが、私をたまらなく不安にさせる。  隠したくても、抵抗すれば理人を傷付けると分かっているから、寸でのところでそれができない自分がもどかしい。  それは結局、私自身が彼にそう言う行為を許していることに他ならないわけで――。  頬に含羞(がんしゅう)のためばかりではない熱が(こも)り、目尻に涙がじわりと滲む。 「あの男にもここを見せたり、した?」  意地悪く問いかけながら、固く張り詰めた先端を指先で爪弾かれる。 「ん、あっ。――そんな、こと、してなっ……」  理人が、私の初めての相手だったことは、貴方が一番知っているくせに。  彼はなんて意地悪なんだろう。 「理人(りひと)の、ばかぁ……」  思わず恨み言が口をつく。  涙目で彼をみやると、ほんの少し理人がひるんだように見えた。
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