*嫉妬

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 最後まで与えられなかった刺激を求めて理人(りひと)を潤んだ目で見つめると、彼が私の耳元に唇を寄せて、囁くように「ごめんね、今、ゴム、ないんだ……」と言った。  だから()れることは出来ないのだと(あん)(ほの)めかすと、ついでのように耳たぶを()む。 「あんっ……」  予期せぬ刺激に、思わず腰が浮いてくず折れそうになる。  そんな私の腰に腕を回して支えてくれると、理人は耳の次は首筋へと、(つい)ばむような口付けを落としながら、自身のズボンの前を(くつろ)げた。そうして、限界まで張り詰めた分身を取り出すと、二度、三度手を上下させて(しご)く。  その仕草を目の端で捉えた途端、子宮の奥がきゅんと疼くような甘い痺れが這い上がってくる。  私のその反応を煽るように、理人が私の鎖骨を少し強めに甘噛みした。 「……んっ」  痛いはずなのに、どこか甘美で心地よいその刺激に、私は思わず小さく声を漏らす。 「葵咲(きさき)、後ろ向いて……。木に手、ついて立てる?」  言いながら、立ち位置を変えると、私の真後ろに立つ理人。  腰に添えられていた彼の助けを失った私は、必死に木に縋り付いて身体を支えた。  と、背後に立った理人が、私のスカートをお尻が出るようにまくり上げて太ももをあらわにしてから、下着も膝のあたりまで下ろしてしまう――。 「やんっ」  あまりのことに、恥ずかしくなって思わず理人を振り返ると、彼は眉根を寄せてとても切なそうな顔をしていた。  張り詰めた状態なのは、私だけではなく、彼もなんだと気がつくと、私は途端に抵抗出来なくなる。  私の恥ずかしい気持ちを察したように、彼の身体が私の背後を塞ぐように覆いかぶさってきた。  私をぎゅっと包み込むように抱いた彼の手が、胸の膨らみを力強く揉みしだく。 「――あぁっ……」
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