*葵咲ばかり

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(あ、でもスカートは私のせいじゃ……)  そこで、私の足の間でドクドクと雄雄しく脈打っていた彼の感触を思い出して、赤面する。 「葵咲(きさき)?」  急に耳まで真っ赤にしてうつむいてしまった私に、理人(りひと)が心配そうな顔を向けた。 「車の中、やっぱり暑かった? 熱中症とかじゃない? 気分平気?」  まさか私がさっきまでの恥ずかしいあれこれを思い出して赤面しているなんて思いもしないのか、理人が気遣わしげな顔をする。  そんな彼に首を振ってそうじゃない、と意思表示したら、ギュッと抱きしめられた。 「……理人?」 「葵咲、本当に有難う」  いきなりお礼を言われてきょとん……として彼を見上げたら、理人まで真っ赤な顔になっていて。 「え……?」  思わずつぶやくと、「まさか、君が……あんなこと、許してくれるとは思わなかったんだ」とボソリとつぶやく。  私だってまさか自分があそこまで彼の求めに応じることが出来るとは思わなかった。  2人してさっきのことを思い出して真っ赤になっていることに、何だかおかしくなってしまう。  お互いそのことに気がついて顔を見合わせて笑いあってから、 「服、どこかで洗いたいな。旅館に、そういう施設あるかな?」  理人(りひと)の腕の中でぽつんとつぶやく。  理人は、「調べてみるよ」と言ってくれた。もしなかったら、コインランドリーの場所を探してくれる、とも。  当初計画した観光プランの通りにはならないかもしれないけれど、理人と一緒に過ごせるなら何でもいいや、と思った。 ***
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