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「葵咲、おいで」
理人に手を引かれるまま、私は部屋の奥に入る。
「また汚れたら大変だし、脱いじゃおうね」
お風呂場に続くガラス戸の前で、理人に正面からギュッと抱きしめられて、耳元でそう声をかけられる。
私は彼の腕の中で小さく頷いた。
理人の手が、私のワンピースの前開きのボタンに伸びる。
ひとつひとつボタンを外されるたびに、秘密を暴かれるような恥ずかしくて堪らない気持ちと、彼にもっと触れて欲しいという気持ちが混ざり合う。
まだ殆どどこにも触れられていないというのに……私の身体は熱っぽく火照り始めた。
理人の指が襟元を開けていくその感触だけで、心臓がドキドキして切ないくらい苦しくなる。
理人は私のワンピースのボタンをウエストの辺りまで外すと、背中で結ばれているリボンを解いた。
そうして首筋、鎖骨、肩、と唇を寄せながら、肩にかかる生地を少しずつ寛げていく。……と、乾いた衣擦れの音を立てて、ワンピースが私の足元でドレープを作る。
私は、胸元に花柄のレースがあしらわれたスリップと、上下おそろいの下着のみになる。
今まで何度もその中まで見られているはずなのに、恥ずかしくて堪らなくなって、自然と身体に力が入ってしまう。
「ごめん。葵咲だけ脱がせたら恥ずかしいよね」
真っ赤になって俯いた私のあごを片手ですくい上げると、理人がそう言って微笑んだ。
「ねぇ葵咲。今度はキミが僕の服を脱がせてくれないかな?」
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