*湯けむりのなか

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 その粘液の力を借りて、彼の指が私の秘芽を優しく刺激する。  彼に触れられるまでもなく、固く(とが)り始めていたそれは、理人(りひと)の動きに恥ずかしいくらいぷくりと()れて、その存在を主張する。  きっと理人にも、そこが固くしこっていること、気づかれている。  そう思うと、恥ずかしさが、情欲に拍車をかける。  トロトロと蜜を吐き出し続ける私のはしたない姿に、どうか理人が気づきませんように……。現状では願っても無駄だと知りつつ思ってしまう。  理人は、そんな私の願いを打ち砕くみたいに、しとどに濡れた裂け目を暴いて、長く太い指を私の中に差し入れてくる。 「んっ……!」  理人に唇を塞がれていて思うように声が出せないのも、逆に気持ちを(たかぶ)らせてしまうみたいで。 (理人が……欲しい)  私は半ば無意識に、腰に当たる理人の固く張り詰めたモノに手を伸ばしていた。  日頃なら絶対にできない事だけど、温泉という環境と、さっき飲んだお酒の効果だと思うことにした。  私は、とにかく彼の固く張り詰めたそれが堪らなく愛しい、と感じてしまって……気がついたら手で包み込んでいた。  途端、理人が口づけをはなすと、「はあっ」と押し殺したみたいな喘ぎ声を漏らす。  その声が可愛くて、私はもっと彼を泣かせてみたくなる。  何となく、いつもの理人の気持ちが分かった気がした。 「……き、さきっ?」  日頃はしないような大胆なことをしたからだろうか?  私の中をかき回していた理人の指がスッと抜けて、 「んっ……」
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